概要
| この記事の結論 AccessからDataverseへは、対応環境のエクスポート機能でテーブルとデータを移行し、Access側にリンクテーブルを作成できます。移行前にはバックアップ、環境と権限、主キーと関連、データ型・精度の対応を確認します。移行後は件数だけでなく、欠落列、親子関係、計算結果、更新処理まで照合します。画面やVBAがPower Appsへ自動変換されるわけではありません。 Dataverseへのデータ移行とは、Access内のテーブルとデータをクラウドのDataverseへ移し、必要に応じAccessからリンクして利用する作業です。 |
この記事でわかること
- 原本を保全し検証環境から始める
- 主キーと主名称を区別する
- 非対応型や精度の差を先に検証する
- リンク後の更新と業務結果を照合する
この記事の主な内容
- Dataverseへ移行する範囲と事前条件
- 主キーとデータ型を確認する
- AccessからDataverseへエクスポートする
- 移行結果とリンクテーブルを照合する
- 移行できないときの確認と本番切替
- まとめとデータ移行の相談先
- よくある質問
想定読了時間:約10分
Dataverseへ移行する範囲と事前条件
AccessからDataverseへの移行では、主にテーブルとデータを移します。対応するAccessのエクスポート機能を使い、移行後のDataverseテーブルへAccessからリンクする構成が可能です。フォームやVBAがPower Appsへ自動変換されるわけではありません。
[出典:AccessデータのDataverse移行]
対応するAccessと移行先を用意する
Microsoftの移行手順に示された対応製品・ビルドを確認し、更新済みのサポート対象環境で検証します。メニューにDataverseが見当たらない場合は、すぐにデータ不良と判断せず、製品、更新状態、機能の提供条件を確認してください。
[出典:AccessからDataverseへ移行する手順]
移行先には、Dataverseデータベースを持つPower Platform環境が必要です。環境とは、アプリやデータを管理する単位です。本番の既存データへ影響しないよう、まず検証用の環境を選び、組織が指定するリージョンや運用方針に合わせます。
アカウントと権限と利用権を分けて確認する
AccessとPower Appsで使用する組織アカウントをそろえ、移行先環境へアクセスできることを確認します。テーブル作成やデータの追加に必要な権限と、利用者が日常業務で使う権限は分けて設計します。ロール名の割当てだけでなく、対象テーブルへの操作権限を確認します。
[出典:Dataverseのセキュリティ概念]
また、アカウントが存在することと、必要な製品利用権があることは別です。Power AppsやDataverseを使う構成に適した契約を確認し、Developer Planなど開発用の権利を本番利用へ流用しないでください。
[出典:Power Platformライセンスの概要]
原本を保全する
移行前にはAccessのバックアップを取り、必要に応じて別の場所へ保管します。テーブルだけでなく、フォーム、クエリ、VBA、外部接続設定を含めて戻せる状態を確保します。検証には作業用のコピーを使い、本番の原本で繰り返し試しません。

主キーとデータ型を確認する
移行前に確認する中心は、レコードを識別するキー、テーブル間の関連、データ型、実際に格納されている値です。列名が一致していても、精度や関連の意味まで自動的に一致するとは限りません。
主キーと主名称を区別する
主キーはレコードを一意に識別する値です。主名称は、利用者に見せる代表的な名前です。顧客名を表示に使う場合でも、同名の顧客を別レコードとして管理できるよう、表示名と識別子を分けます。
公式の移行手順では、Accessのオートナンバーを保持しつつ、Dataverseの主キーに対応するGUID列が追加される構成が説明されています。GUIDは一意の識別子です。既存の番号と新しい識別子を同一視せず、親子関係と新規登録時の動作を照合します。
[出典:AccessからDataverseへ移行する手順]
型の対応は実データで判断する
| Access側の項目 | 移行時に注意すること |
|---|---|
| 短いテキスト・長いテキスト | 内容、文字数、改行、空欄とNullを照合 |
| 数値・通貨 | 値の範囲、小数精度、丸め、通貨の扱いを確認 |
| 日付と時刻 | 日付のみか時刻付きか、時刻表示とタイムゾーンを確認 |
| 添付ファイル | 公式移行資料の単一添付などの条件を確認 |
| OLEオブジェクト | 標準移行の非対応項目として別の抽出・保管方法を検討 |
| 計算フィールド | 計算式の継承と保存値の移行を区別 |
| 複数値ルックアップ・リッチテキスト | 事前整形や非対応条件を確認し、代表値で検証 |
Microsoftのデータ型資料には、添付ファイルは列ごとに単一添付の移行条件、OLEとリッチテキストは非対応、計算フィールドは最終計算値が移るが計算定義は別途構成する旨が記載されています。Dataverse自身が持つ機能と、Access移行ツールが対応する範囲を区別します。
[出典:Access移行のデータ型とサイズ]
数値を変換するときは原本と比較する
SingleやDoubleなどの浮動小数点型は、移行先との範囲・精度の差に注意が必要です。必要な精度を確認して型変換を検討します。単に警告を消すために型を変えると、原価や数量などの値を意図せず丸めるおそれがあります。
最大値、最小値、負数、細かい小数、空欄を含むデータを選び、移行の前後で比較します。特に金額は総額だけでなく、代表的な明細と端数処理を確かめてください。型定義だけでなく実データを調べることが重要です。
AccessからDataverseへエクスポートする
ここでは、Accessのエクスポート機能を使う基本的な流れを説明します。表示名やメニューの位置はバージョンで異なる場合があります。作業前に接続先の環境名とURLを確認し、本番ではなく検証用のコピーで実施します。
1 テーブルと関連を選ぶ
作業用のAccessを開き、編集中のテーブルやフォームを閉じます。ナビゲーションウィンドウで対象テーブルを右クリックし、エクスポートからDataverseを選びます。対象のテーブルを指定し、関連するテーブルを含める範囲を確認します。
[出典:AccessからDataverseへ移行する手順]
例えば、受注だけでなく顧客や受注明細との関連が必要なら、移行対象を一体で整理します。既存データに参照先のない明細がある場合、移行操作の前に原因と扱いを決めます。不要な一時テーブルは業務データと分けます。
2 移行先とリンクの設定を確認する
移行先として対象のDataverse環境を指定します。Accessから引き続き利用する場合は、エクスポート後にDataverseテーブルへリンクする設定を確認します。主名称に使う列も、利用者がレコードを識別しやすいものを選びます。
リンクテーブルとは、Access内へ独立したコピーを保存するのではなく、外部のデータを参照・更新するためのテーブルです。単なる取込と区別し、利用者がどの保存先を更新するかを分かるようにします。
3 検証結果を読み警告を処理する
エクスポート時には、データ型や範囲に関する検証が行われます。非対応の列や制限を超えた値があれば、内容とエラー情報を確認します。対応部分だけの移行を続けられる場合でも、残った列や行を把握せずに本番完了としないでください。
[出典:Access移行のデータ型とサイズ]
移行対象、成功した範囲、残存した範囲を一覧化し、再整形するのか、別の方法で保存するのかを決めます。エラーのあったテーブルや列に対して、削除や型変更を一括実行してよいとは限りません。

移行結果とリンクテーブルを照合する
エクスポートの完了表示だけでは、業務が正しく動くことは確認できません。AccessとDataverseの両側で、件数、値、関連、更新結果を照合します。
元テーブルとリンク先を区別する
リンクを作成した場合、元のローカルテーブルが別名で残り、リンクテーブルに元の名前が使われる構成があります。どのテーブルがDataverseを参照し、どれが保全用のローカルデータかを確認します。接続先環境も再確認してください。
[出典:AccessからDataverseへ移行する手順]
元テーブルが残っているからといって、両方を日常更新してはいけません。検証が終わるまでは保全し、正本をDataverseに切り替えた後は旧側への更新を防ぎます。削除する場合も、必要なバックアップを別途確保します。
件数と値と業務結果を照合する
| 観点 | 確認内容 |
|---|---|
| テーブル件数 | 同じ対象範囲・同じ基準時点で移行前後を比較 |
| 列と値 | 欠落列、文字、Null、小数、日付、添付の有無 |
| 親子関係 | 顧客と受注、受注と明細などの紐づけ |
| 業務結果 | 集計額、残高、検索結果、帳票の内容 |
| 登録と更新 | 追加、修正、削除、採番、権限不足時の動作 |
移行先に既存データやシステム行がある場合、単純な全件数比較は適しません。対象テーブルと移行バッチの範囲をそろえて比較します。件数が一致しても、列が欠けたり関連が変わったりする可能性があります。
既存フォームとクエリを確認する
リンク後は、利用中のフォームで検索・追加・更新を試し、帳票を出します。ローカルテーブルの動作を前提としたクエリやVBAがあるため、移行前と同じ名前のテーブルがあるだけで互換性を判断しません。
権限を限定した利用者で、必要な操作ができることと、禁止された操作ができないことも確認します。管理者で成功した結果だけでは、実際の運用条件を確認できません。

方式と変更範囲を整理したい場合は
Accessの改修、データ基盤の見直し、Web・モバイル連携の検討をご相談いただけます。
利用中の画面・帳票、データ件数、利用端末、外部連携、停止可能時間を整理すると、必要な調査と対応範囲を具体化できます。
移行できないときの確認と本番切替
移行エラーは、環境・権限、データ型、データ内容、テーブルの状態などに分けて確認します。繰り返し実行する前に、移行先に何が作成されたかを記録してください。
| 症状 | 最初に確認する内容 |
|---|---|
| Dataverseの選択肢がない | Accessの対応製品・ビルド・更新状態 |
| 環境が見つからない | アカウント、テナント、環境URL、利用権 |
| 作成や追加で失敗する | 環境とテーブルの操作権限、ポリシー |
| 一部の列や行が移らない | 検証エラー、非対応型、値の範囲・精度 |
| 再実行で同名テーブルが増える | 前回の作成結果、再実行対象、命名 |
再実行の前に結果を整理する
同じ名前のテーブルが既にあると、別名のテーブルが作られる場合があります。検証では作業対象を識別できるようにし、不要なテーブルを削除するときも利用中のアプリやリンクへの影響を確認します。エラーが出たからすべて未実行だったとは決めつけません。
本番は更新停止と最終照合を組み合わせる
検証で手順を固めてから、本番の更新停止、最終バックアップ、移行、照合、リンク先の配布、利用開始を順に行います。切替後の更新が新旧へ分散しないよう、旧テーブルや旧フロントエンドの扱いを決めます。
問題が出た場合は、新側に登録された更新を保全してから切戻します。Dataverseのバックアップ運用と、Access原本を保管することは別の対策です。復旧対象と、どの時点まで戻すかを明確にします。
まとめ
Dataverseへの移行は、事前確認、エクスポート、移行結果の照合、既存業務の検証までを一組として進めます。主キーと主名称、非対応型、精度の差、リンク先の正本を明確にすると、移行後の見落としを減らせます。
Dataverse for Teamsを使う場合は、通常のDataverseと同じ機能・容量・運用条件だとは考えず、対象機能と利用範囲を比較してください。 Power Apps画面の作成は別工程なので、必要に応じて関連記事の移行計画と組み合わせてご参照ください。
[出典:DataverseとDataverse for Teamsの比較]
関連記事:AccessからPowerAppsへ移行する方法
Accessの現在の構成から相談できます
株式会社インフォースでは、Accessの改修、データ基盤の見直し、Web・モバイル連携の検討をご相談いただけます。利用中の画面・帳票、データ件数、利用端末、外部連携、停止可能時間を整理すると、必要な調査と対応範囲を具体化できます。
よくある質問(FAQ)
移行の中心はテーブルとデータです。AccessのフォームやVBAをPower Appsとして自動生成する作業とは異なります。既存画面を残す場合もリンク後の動作確認が必要です。
標準移行ツールには条件があります。公式データ型資料では添付は単一添付などの条件があり、OLEは非対応です。複数添付や特殊型は代表データで確認し、別の抽出・保管方法を検討します。
対応するリンクテーブルを作成し、権限と互換性が確認できれば利用できます。追加・更新・削除・採番を検証し、旧ローカルテーブルとの二重更新を防ぎます。
同じではありません。機能、容量、利用場所、権限や管理の条件が異なります。Teams内の利用範囲を含めて比較し、本記事の通常Dataverseの説明を無条件に適用しません。
参考情報
AccessデータのDataverse移行
https://learn.microsoft.com/en-us/power-apps/maker/data-platform/migrate-access-to-dataverse
AccessからDataverseへ移行する手順
https://support.microsoft.com/en-us/access/get-started-migrate-access-data-to-dataverse
Access移行のデータ型とサイズ
https://learn.microsoft.com/en-us/power-apps/maker/data-platform/migrate-access-datatypes
Dataverseのセキュリティ概念
https://learn.microsoft.com/en-us/power-platform/admin/wp-security-cds
Power Platformライセンスの概要
https://learn.microsoft.com/en-us/power-platform/admin/pricing-billing-skus
DataverseとDataverse for Teamsの比較
https://learn.microsoft.com/en-us/power-apps/teams/data-platform-compare